体育学・スポーツ科学の分野に入って40年ほどになる。
中でもスポーツバイオメカニクスを専門としてきた。
この体育学・スポーツ科学の分野において最も重要となるのは、発育発達・加齢変化の領域と、トレーニング科学の領域だと感じている。
前者はヒトがどのように変わっていくのかを、そして後者はヒトがどう変わりうるのかを対象とする。
体育学・スポーツ科学の分野の学部や大学院が急増している。
一方で論文や学会発表の数が重視されるようになってきた。短時間で結果が得られるような研究テーマを選ぶことになりがちである。最も重要な領域には手をつけにくくなりつつあるように感じる。
学部生の卒業研究はもちろんのこと、修士課程や博士課程の学生でも同様だ。
「奇跡の○○」「××理論」「万能の□□」…などがもてはやされる。実際に試してみれば、本やテレビで断定的に述べられているようなことは万人にいつでも同様にたやすくは実現しないことがすぐわかるのにと思う。実験や実証的な体験、自然科学的なものの見方、そしてそれを正しく解釈し明快に説明できる能力の重要性が増している。
設立10周年を迎えたトレーニング指導者協会JATIの使命はいよいよ重く、そしてそれへの期待はますます大きい。